鳴海探偵社にようこそいらっしゃいました。 所長の葛葉ライドウです。今日はご依頼ですか?それともお支払いでしょうか? ご依頼ですか、どのようなご用件で?見たところずいぶんお若いですが、ここは結構高いですよ? 人のことは言えないだろうって?…見かけより若いわけではありませんよ。何かと便利ですけどね。 まぁ、こちらの話です。はいはい、エンジェルさん?これはまた、ずいぶんとお手軽な…なんというか、面倒くさい話ですね。いいですよ、お望みならばすぐにでも。お代はこれぐらいが妥当でしょうかね?高いって?すぐがいいなら、今すぐ支払いをしていただいて向かいますが。一晩よくお考えになるのを、当探偵社では薦めておりますね。何しろ現代ではなかなか人は怪奇現象を信じてくれないものでして、踏み倒したり訴えてくる方も多いのですよ。ですから、よくお考えになる事をお勧めします。そして納得してお支払いください。こちらだってただでやってるわけじゃない。あなた方が賭けるのが貨幣なら、私がかけるのは信用と命ですからね。割に合わない商売ですよ、探偵というのは。 そうそう、よくお考えになるのがいいですよ。所詮貴方自身のお金ではないでしょう?自分の尻拭いも出来ないような事柄には手を出すものじゃないと、次回からは学んでくださいね。まぁ、学ばない方々のお金で私は暮らしているわけですが。 あはは、そうですね、暴言が過ぎました。謝罪しましょう。この黒猫に免じますよ。意外と頭が良いんですよ、貴方のおっしゃる事も大方は理解しているでしょう。何しろここは怪奇専門の探偵社ですからね。 由来?由来ですか、そうですね。私がここにきたときはまだ私は探偵助手で、ここを取り仕切っている探偵の名前は鳴海、と言ったのですよ。だからここは鳴海探偵社というのです。その探偵もずいぶんと前に死にました。それ以来私はここの探偵で、細々と暮らしているわけですよ。まぁ、ずいぶん昔の事ですけどね。つまらない話でしょう。お帰りになりますか?そこの段差にお気をつけください。 では、またお越しください。お待ちしております。 …今日の営業はおしまい。もう疲れたよ。はいはい、ゴウト、毒も出るさ、大目に見てよ。だんだん鳴海さんに似てきたって?冗談じゃないよ。あんなに俺はやさしくない。もう少しで待ちくたびれてしまうと思うんだ。本当に早く来てほしいよ。接客業って難しいなぁ…あはは、そうそう、だからさ、鳴海さんが早く戻ってくれば良いのにね。 |