なんだか時折とんでもなく本当に死にそうな、気持ちになる。
 だからなんだということもなくただ本当に死にそうだ、と思うだけだ。死にそうだ、というよりもむしろここで死んでしまいたい。あぁ、時が止まってしまったらなどと馬鹿らしく思うだけだ。わけのわからない衝動は時折自分を襲って何故だか酷く自分を痛めつけたい気分になる。淡々と振る刀の肉を裂く時の感触や銃で悪魔を撃つときの衝撃に混じって、こちらに喰らいつく悪魔の恐ろしい牙の前に身を投げ出したいような衝動に駆られる事がある。
 「夢を見ました」
 鳴海さんは意外そうな顔をして、どんな夢を見たの?と聞く。その顔は嬉しそうだ。
 「貴方を殺す夢を見ました。」
 なんで、またと鳴海さんはへらへらと笑う。緩んだその顔が酷く切なくて、泣きそうになってしまう。自分が手をかけた夢の中の鳴海は、冷たくて、けれど笑っていて、俺は彼がうらやましかった。
 わかりません、と答えると鳴海さんはなんか甘いものでも食べに行く?と言った。
 なんだか時折とんでもなく本当に、死にそうな気持ちになるのだ。
 眠りたくない。夜が来なければいい、朝が来なければ、夜が続けば、そうすれば明日は来ない。来ない事に安心するわけでもない。じりじりと続く焦燥にどこにもいけない気持ちになるだけだ。
 夢の中、鳴海を殺したことを酷く後悔した。刀を振るうときに向けられた銃口を何故悪魔で叩き落してしまったのかと。あのままであったなら死んでいたのは自分だったのに。
 鳴海さん、と呼びかける。鳴海さんは何?と呑気な顔で言う。
 「鳴海さん、好きです」
 鳴海さんの目がくるりと驚きで丸くなる。

 だから今度はちゃんとその引き金を引いてください。