「なに二人って一緒に住んでるの?何で?」 醤油が足りないから買い物で、と部活もしないで帰ってしまったライドウ達を見送った後俺はタエちゃんに聞く。 「あぁ、そうなのよね。私から言っても良いんだけれど、たぶん雷堂君達から聞くのが筋だと思うわよ」 言ったら絶交ね、なんていい大人に通じる言説でもないだろうし、とタエちゃんが大人びた風に言うので笑ってしまった。学校の住所録では二人の住所は別れたままなのだが、さっきの様子からするとどうにも二人は一緒に住んでいるらしかった。通りで弁当の内容が同じはずだと妙に納得してしまった。 「何、そんなたいそうな理由なの?」 「…まぁ、世間一般で言ったら大層な理由でしょうね。」 私にクイズのヒントを貰っていないで、本人たちに聞きなさいよ、とタエちゃんがさらに重ねた。世間一般で言ったらという言い方に引っかかるものを感じるが、タエちゃんの言うことももっともだ。わかったよ、と軽く言うとタエちゃんが少し躊躇をした後に口を開いた。 「あのね、先生、もしライドウ君達が理由を言ったとしても、同情をしないであげてね」 タエちゃんの表情が暗いのに少し驚いた。風が教室の窓を抜けて、タエちゃんの髪を揺らす。しばらくの沈黙の後なんでもないという風にタエちゃんは笑った。 「行きましょうか、先生。カヤちゃん昇降口で待ってると思うわ。」 じいじいと蝉がなく。 |